記事作成:平成24年5月9日
あまり大きな改正はありませんが、平成24年度の税制改正について順次ご紹介したいと思います。
今回は「特定支出控除の見直し」についてです。
サラリーマンの場合、税金を計算する際、給与所得控除といって、概算経費に相当するようなものが給与収入から差し引かれます。
給与所得控除の金額は、給与収入によって決められており、例えば、収入300万円の場合の給与所得控除額は108万円、収入500万円の場合の給与所得控除額は154万円となっています。
また、確定申告をすることで、給与所得控除の代わりに実際にかかった経費(特定支出:通勤費、転勤に伴う引越費用、研修費など)を控除することも認められており、これを特定支出控除といいます。
ただ、通常は給与所得控除の方が有利なため、この制度が利用されることはほとんどありませんでした。
今回次の点が改正され、少しは使いやすい制度になったかと思います。
①適用範囲の拡大
- 弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費を適用範囲に追加
- 職務と関係のある本の購入費、職場で着る衣服、交際費などの勤務必要経費を適用範囲に追加(65万円が限度)
②適用判定の基準を給与所得控除額の総額から1/2へ変更
従来の制度では、給与収入500万円の場合だと、給与所得控除額154万円を超える特定支出がないとダメでしたが、改正後は1/2の77万円を超える特定支出があれば控除ができることとなります。
なお、この改正は、平成25年分の所得税から適用されます。