記事作成:平成22年6月11日
●自販機節税の規制
今回の消費税の改正は、以前より問題視されていた「自販機節税」に規制をかけるものです。 「自販機節税」とは、貸付用のアパート・マンションを建築する際に、自販機を設置することによって、本来還付を受けることができないアパート・マンションの建築費に係る消費税の還付が可能になるという手法です。
今回の改正により今後自販機による消費税還付はできなくなりました。(正確には、還付は従来通りできますが、その後に還付金のほぼ全額が取り戻される仕組みになりました。)
なお、次のようなケースでは、今後も還付できる可能性があります。
・店舗、事務所、倉庫など住宅以外の賃貸用不動産を取得する場合
(店舗付住宅など一部でも住宅以外の部分があれば可能性はあります。)
・すでに、店舗、事務所、倉庫、駐車場など住宅以外の不動産の貸し付けを行っている場合
・個人で商売を行っている場合 など
●他の面でも影響が
個人事業を開始した場合や資本金1000万円未満の会社を設立した場合には、最初の2年(または2期)は消費税は免除されますが、多額の設備投資がある場合などは、あえて消費税の免除の適用を受けずに(課税事業者を選択して)、消費税の還付を受けるということが時々あります。
今までは、課税事業者を選択した場合は2年間の強制適用でしたので、1年目の還付額と2年目の納付額を予測して課税選択するかどうかを判断していましたが、今回の改正により強制適用の期間が3年間または4年間となりましたので(さらにその期間は簡易課税の選択もできません)、判断がかなり難しくなってくると思います。
【改正の内容】
平成22年4月1日以後に次の1.2のいずれにも該当する事業者の方は、免税事業者となることや簡易課税制度を適用して申告することが一定期間制限されることとなりました。
1.
①課税事業者選択届出書を提出し、平成22年4月1日以後開始する課税期間から課税事業者となる場合
②資本金1000万円以上の法人を設立した場合
2.
①の場合、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に、②の場合、新設法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中に、
調整対象固定資産の課税仕入れ(※)を行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の消費税の確定申告を一般課税で行う場合
1、2に該当する場合
調整対象固定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日から原則として3年間は、
●免税事業者となることはできません
●また、簡易課税制度を適用して申告することもできません
※調整対象固定資産に該当する課税貨物を保税地域から引き取った場合も含まれます。
なお、調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその付属設備、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権等の無形固定資産その他の資産で、消費税等に相当する金額を除いた金額が100万円以上のものが該当します。